航空祭の先輩方は皆さん揃って千歳遠征だったため、戦友けいらちゃんと私は数少ない浜松組でした。10月12日の岐阜の後すぐ翌週の金曜日に予行ということで、さてどうしよう?予行の時間が最後まで読めず安全をとって木曜の夜から浜松入りすることに。
朝外周に行くと、さすがにサンダーバーズ来日ということで人がたくさん!
そしてバーズはしばしおあずけ、と言うようにまずはAWACSの予行が始まりました。

結構低くて普通にビビる。
何しろ、その1ヶ月前には下地島で訓練生が頑張っているB6を見ていた時すら、ローパスやらタッチアンドゴーだけでも「大丈夫かな」と心配しまくっていたのです。なので背中に円盤乗っけているとはいえ同じB767ベースのAWACS・・・ここまで激しいバンクで飛びまくるAWACSを見ていると「ちょっと!それどこで習ったん!下地はそんなこと教えないわ!」とツッコミを入れたくなってしまいます。
サンダーバーズの前座(←ひどいw)としてはすごい派手なフライト。

確かにこういうギアアップを下から見ていると下地島が懐かしい。

円盤はこの日は休業中だったような気がする。
でも写真によっては位置が違う?からグルグルしてたのかもしれない。
そして何度もタッチアンドゴー!

青空にE767のバンクの背中。私の中ではツボ構図キター!
なぜならば、こういう青空の中のE767バンクの写真が、会社でもらってきた戦闘機カレンダーに使われていたから。そのバンクのかっこよさに是非とも撮ってみたかったんです。

電線が視界に入るぐらい低いってどうなん(笑)
大きな翼のAWACSがランディング。
その姿に興奮しつつも「いよいよ次は…」とバーズに思いを募らせ始めました。
敢えて見ないようにしていた基地のエプロン方向。やっと意を決して背伸びして基地を見ると、見事に並んだバーズのF-16Cの尾翼にもう涙が出そうになりました。
ここまで来るのに、長すぎた。
エアフェスタ浜松2009からさかのぼる事5年前、戦友けいらちゃんと私は初めて航空祭と言うものに出かけることにしました。当時大学院で研究室同じであり飛行機好きということで意気投合、「今年はサンダーバーズっていう部隊が来るらしいよ!ブルーインパルスも見れるんだって♪」と軽い気持ちで向かった先は、
百 里 基 地。
2004年の百里。それは現在もなお語り継がれている「百里難民」を大量発生させた恐るべき航空祭。人が殺到したために正午近くなっても基地まで到着すら出来ない始発のシャトルバス。始発の電車で行ったのに駅には人が溢れ、何時間も待ってやっとバスに乗れたところで1時間以上経っても行程の1/3も進まない。諦めてバスを降りて歩き始めたら実は基地は10キロ以上先で大雨の中・・・嘆きの声すら出ない壮絶な1日。
「百里難民」を経験した人間は、あの混乱の中に飛び込んでしまった事への躊躇も後悔も感じる暇も与えられませんでした。ただひたすら、必死になって生き延びた。しかし冷静になって振り返ってみると、あの時間を共有した人間達でなければ分かり合えないある種の高揚感と連帯感が生まれたのも事実。生涯忘れられない瞬間だったともいえます。
結論:人生に1回ぐらい百里難民やっといたほうが心身鍛えられると思う(笑)
喉元過ぎれば、と言うには辛すぎるかもしれないけれど、どんなに混みあう航空祭でも「百里難民に比べれれば足元にも及ばぬわ」と軽い気持ちで乗り越えられる。まさに恐ろしいまでの修行、いや荒行だったのかもしれません。
そしていつしか「百里難民」とは騒乱に巻き込まれただけだったという恥ずべきものではなくなり、今やむしろ誇らしい勲章となっているのです。
良く考えたら百里難民やった友人は、みんな航空祭通いを続けている気がします(笑)
大雨の中、生まれて初めての一眼レフ・・・買いたてのデジイチEOS 20Dを背負ってただひたすらに基地を目指す。大雨に濡れそぼり、車に水を跳ね上げられても、戦友けいらちゃんと2人で10キロ以上歩いた後に見た百里基地の広々とした光景は、今でも目に焼きついて忘れられないのです。
2004年9月26日、数少ないその日の写真を引っ張り出してきました。

当時の貴重な?1枚。着いた途端バーズ帰投とかもうね・・・(涙)
この年は空自50周年であり、百里基地のエプロンには豪華絢爛な特別塗装機が数多く並んでいたのが懐かしいような切ないような。
あの2004年から5年。いつしかバーズを見たいという思いは薄れてしまっていたことも事実。それ以上に見たかったブルー5番機、GUCCI様という存在があったから・・・だからこそ、敢えて千歳まで遠征したいと思わなかったのかもしれないね。
そして何よりも、バーズと向き合うのが怖かった。百里難民を彷彿とさせるその存在が。そして浜松に来てバーズの尾翼をひと目見た途端、2004年に引き戻されたかのような錯覚に陥りました。しかしそれは恐ろしさではなく、航空祭に初めて行こうとした5年前の高揚感がそのままによみがえってきた。ほんまにおるんや。あのバーズが。目の前に。5年前に振られて飛び去ってしまった白い鳥達が戻ってきた。だからこそ、この部隊が飛ぶこと自体信じられないとすら思った。
もうこの歳になると段々涙腺が弱くなってきて「なんか泣けてきたわ・・・感動やなぁ?」と戦友殿を見ると・・・
戦友殿→買いたてのEOS 7D担いで臨 戦 態 勢 。
強い。この戦友殿すごく強い。一緒に航空祭5年間の荒波を越えてきただけある。そして戦友殿のバーズに対する思いは私を遥かに凌ぎ、そしてそれはホンモノだった。なんか圧倒された・・・私もなんとかカメラをにぎりしめバーズの登場を待ちます。
会場からかすかに聞こえる派手な重低音のBGMと共に、タキシーアウト。甲高いF-16のエンジンの音はまさに5年前と同じ。
ファインダー越しの像は陽炎で揺らいでいたけれど、間違いなく彼らは飛ぼうとしている。5年前の帰投とは違い、ショーをするために。

テイクオフ!ってはやっ!
・・・ぜんっぜん付いていけへん。わけわからん。
低い。速い。すばしっこい。普通の機動飛行の感覚でレンズ振り回していたら追いつけない。

青い空へと舞い上がる雷鳥を追うのが必死・・・
予行と言うことで場所的には順光だったものの、ショーセンターには遥か遠く「舞台そで」から見ているに過ぎませんでした。
だから科目が分かってもタイミングも進入も良く分からないという・・・

ベイパーが凄まじい・・・

何もかもがまさに閃光の如く。
でもごめんなさいブレブレですorz

目の前にあるものが撮れないもどかしさ・・・でもすごい!
今まで数多く飛行機を撮ってきたからバーズもとりあえず何とかなるだろうという甘い考えは全て吹っ飛ばされました。カルチャーショックやでほんま。
まだ5科目ぐらいしかやっていないのに、撮っている側はすでにバテバテ。
ちょっと休憩したい・・・(笑)
というわけで初めてのバーズ撮影はまだまだ続く。