日付が変わったけど、この思いは、最後まで書きます。
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黒馬、小松に集う。最終章。
2月24日。3rdの訓練を終えた黒馬イーグルが、続々と帰ってきました。
厳しい訓練、お疲れ様です。

無意識のうちに、コクピットを狙ってしまう。

残りは、2機。

空高く、ブレイクする2機をファインダー越しに追う。
どうしよう、私は撮り逃したのかもしれない。
最後の2機がブレイクする姿を見上げながら、心には期待と恐れが入り混じってきます。
私は、サンニッパを置いて、白いニットの帽子を手に取りました。
なぜ、その帽子をかぶることにしたのか・・・実は、不安に耐えられなくなってママンに電話した時のこと。
「ねえ、もしかしたら私、撮れないかもしれない」
「白い帽子は?白い帽子かぶりなさい。いつもGUCCIさん撮っている時にかぶってたあの帽子!」
「そんなの見えるの?」
「あの白い帽子じゃないとあかんねん!いいからかぶり!」
ママンに言われるまま、私は白い帽子かぶりなおす。
そういや1stの時は、私、帽子かぶってなかったんだっけ。
まさかと思いながらも、その「白」に賭ける。
白い手袋。白い帽子。
そして黒い御崎馬。
もちろん、訓練の様子を見ることだけでもとても感動的な出来事です。
しかし人間とは、なんと欲の深いこと。
奇跡を望んでいる自分がいることもまた事実。
帰ってきた。
泣いても笑っても、あの2機がすべて。
そして帰ろう。全てに感謝して。

あ?れ・・・?
手袋?
#066の後席の、手袋が。
白かった。
更に、近づいてくるその機体の、後席しかすでに追っていなかった。

目が合った。
ファインダー越しに、サンニッパのガラス玉が透かしこむ。
黒馬イーグルの後席の、白い手袋の主と視線が交錯。そんな気がした。
その時間、その「とき」は、一瞬のようでいて、永遠のようでもあり。
しかし確実に、何かが空間を越えて通じたような。

しっかりと、視線が。
この日初めて、視線が・・・合った。唯一の黒馬。
バイザーカバーの5。何とか読み取ることができました。
背面でのアクロをも自在に操る、ブルーインパルスLead Solo、5番機の5と逆さまの5が組み合わさって描かれていました。2つの5を制し併せ持つLead "S"oloのマークをデザインされたとのこと。まさにGUCCI飛行班長にふさわしい。
同じマークを、私のレンズのフードにも入れて頂いているのです。
疑うべくもなく、6年間の記憶は1つへと重なってゆく。
松島から始まった、あの奇跡。
2005年の8月から松島での出会いから始まり、2007年の松島で追い求めた5番機。
Lead Soloのどこまでも力強く美しいアクロに一目惚れ。
今まで、ファンですとしか、言えなかった。
やっぱり、「大好き」なんです。
次の一瞬、頭の中が真っ白になった。
手があがった。
そしてまさかの、ソロのS!!
2007年の春の松島へ外周に撮りに行く時、お願いしたのと同じ「ソロのS」でした。修士論文を書いたら写真を撮りに行きますと誓った4年前。4年ぶりに蘇る約束。
こちらを見てくださったことに、心からの感謝を。
嬉しくて、あとで外周で一人でぴょんぴょんしてたのは秘密(笑)

GUCCI飛行班長!!!!
手を振るのではなく、きゅっと閉じたソロのS。
もう、心を狙い撃ちされた気分でした。
本当に、ありがとうございました。
この後も、もし小松に黒馬さんが留まったならば、何度も見に行くつもりにしていました。
しかし震災後、すべてが変わってしまい・・・
九州新幹線開通の時のさくらも、GUCCI様に撮ってきますと約束したのに。
何も、果たせないまま。何も、できないまま。震災後の月日だけが流れていく。
だからこそ、何もないということが平和だったあの2月の小松の記事は、今日まで書くことを「待っていた」のです。大切な記憶だから。
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8月29日。日付は変わってしまいましたが、GUCCI様お誕生日おめでとうございます。
そして川口"GUCCI" 2佐、昇進おめでとうございます。
これからも、大好きな、パイロットさんです。
なお一層のご活躍を、心より願っております。
もう思い出して感極まって涙が出そうなのでこのあたりで。
(追記:08/30)